タイトル「燃える鬼の手の少女セラフィーヌ・ヴァイちゃん!!!」
2019.2月作
久しぶりに作品を描き上げることができたので、ギャラリーに追加します。
こちらの女の子の絵は、個人のお客様(以下、Kさん)からのご依頼で描かせて頂いたものになります。
KさんのTwitterアカウント
この絵はキャラクターの単なるバストアップではありますが、描き上げるのに大変に苦労しました。
その制作過程を紹介しつつ、絵の上達の為に最も大切なことについても触れます。
それはずばり「自分が描きたいものを描く!」ということ、
その真の意味について…
と言う訳で、
まずは彼女のキャラクター設定からご紹介しますね、
かなり凝った設定だったので当初は焦りました。
そんなん描けるかな???と.....
ではでは、
………………………………………………………
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目次
セラちゃんのキャラクター設定
ご依頼の内容をほぼそのまま転載しています。
- 名前はセラフィーヌ・ヴァイ
- 外的要因によって動いているだけの死体という設定
- 14歳で亡くなったため、やや幼ない顔立ち
- 目は金色がかっていて、暗い赤色の髪(参考画像Aの通りです)
- 血が通っていないため血色は悪く、目にもハイライトが灯っていない
- その一方で歳不相応の豊満なバスト
- 衣装はゴシックロリータ系(添付画像参照)
- 髪型は腰近くまであるロングヘアーで、結び目までは下の参考画像Bのようなストレートのハーフアップ
- それより下は先に添付しました参考画像Aのようにウェーブがかっている
- 登場する作品は「魔法が生き物のように実体を持つ」世界が舞台なので、彼女もその例に漏れず、両腕が火を纏った異形のそれに変化する。
- 魔術を勉強する「アカデミア」に通っている学生(高校一年生相当)。一年生ながらアカデミア全体で行われる競技会では上位に名を連ねる実力者。
といった内容でした、
これを受けての第一声は「死体?!死体を描かないとあかんのか??!」でした。
死体なんて描いたこともないし、描きたいとも思ったことがない…、
(それに燃える異形の手…??さりげなく描くのが難しいモノがぶっこまれている。。。)
「描けるかな~大丈夫かな~」と心配していましたが、どうやら死体としての気持ち悪さは表現しなくていいとの事でした。よかった。。。。
<参考画像の一部を公開↓>
アニメタッチで描くとこんな感じの子のようです、簡単に言うとこの子を僕のタッチで描いて、というご依頼
それにしてもやけに設定が凝っています。
この凝り様はどう考えても普通じゃないぞ.....と思っていたら、
案の定、ご依頼くださったKさんは小説を描いておられる方でした。
(Kさんの小説はこちらから読めるようです、よかったら是非読んでみて下さい)
セラちゃんは、その中に出てくるキャラクター(主人公?)だったのですね。
なるほど~、思い入れのあるキャラなのですね。
そういうことなら、頑張らないわけにはいきません。
よし!!
という訳で早速制作に取り掛かることにしました、
「設定の凝り様には面食らったけど、背景なしのバストアップだから比較的簡単に描けるだろう!」と鷹をくくっていましたが.....
実際は、異常なほど苦労しました、
「バストアップだから簡単」とちょっと舐めてかかったことに罰があたったのかもしれません。。。。
どんな内容だろうと全力でかからなければ反って苦労する.....、
今回の制作では、そんな教訓を学んだ気がします。
今後は、効率だとか時短だとかあまり考えず、全力で取り組んだ方が良さそうです。
という訳で以下、制作過程です↓
制作過程&没一覧
制作過程というよりほぼ没カットの一覧です。バーッとご覧いただければと思います。
とりあえず描く
とりあえず女の子のバストアップを描いていきます。
(手のポーズや顔の角度などはある程度指定されていたので、それに基づいて描きます)
髪の毛と衣装も一気に描きこみます。
ここまでササっと進めてきましたが....
う~ん、
なんというか、良くも悪くもないですね.....
なんかつまらないと感じたので、もうちょっと美しさを意識して描きなおしてみることにしました。
(あと今回メイキングを動画に撮っていたので、よかったら動画もどうぞ↓)
美しさを意識してさらに描き進める
ちょっと顔を細くして、子供っぽい可愛らしさよりも大人びた魅力を出してみようと試みます。
うん、悪くないですね、
可愛らしくもあり、それでいて美しさも感じられます。
・・・・が、
髪の毛を描きこんだ途端、なんだか変な感じになってしまいました、なんかモッサリした印象に....
髪形は「添付した参考画像のように」とご指定があったので、勝手に変えられません。
参考画像↓
顔は綺麗なのに、なんでこんなにモッサリするんだろう??、
解決策を模索しつつ進めていきます。
迷走(暴走....)
どうにか可愛く・美しくしようと勝手に髪形を変えてみたり、色々試しました。
いつのまにか14歳の少女ではなくて、完全に大人の女性になってしまっていました。
個人的にはこうゆう顔は好きなんですが、Kさんのご要望に応えるものではなくなってしまいました。
手のポーズも指定されていたものがなんだか「平凡」に感じたので、勝手に変えたりしました。。。
もっと奥行き感を出してダイナミックに~、と.....
完全に迷走....というか暴走しています。
お客様のご要望を無視するなんてもってのほかであることに気づき(←当たり前のこと)....、
数時間分の作業はなかったことにして、やり直すことにしました。
とほほ・・・・
ご依頼内容に忠実に!
もう一度原点に立ち返り、「少女っぽさ」と「指定されたポーズ」を意識して描いていきます。
がしかし!、
ドンドン不細工になっていきます....、
顔もなんか濃いし、(例えて言うなら梟の化け物みたいな....)
ポーズもなんか固いというか、右手を掲げて突っ立てるだけです....
自分で描いておきながら「これ何してるところなの?」と言わずにはいられないポーズになってしまっています....
ひどい!!
流石にこれはひどいです!
まさにク〇みたいな絵です。
長年練習を積んできたのに、いまだにこんなものを描いてしまう自分に腹が立つとともに、隠しようのない恥ずかしさを感じます....
あああああーーーーーーーーーーーー!!!!!
…でもこれは今回に限った話ではなく、割といつも感じています。
いまだに自分の画力に心から満足したことはありません、
それに絵を描いてる時はいつだって不安を感じています、
ちゃんと描き上げることができるだろうか?って....
この辺りの動画はこちら↓
さらに色々試す・・・
顔の角度を少し変えます
大きさもちょっと縮小します、
でもやっぱ濃いなぁ~~~~~
モッサリしすぎ・・・
髪の毛を非表示にすると幾分マシに見えます、
う~ん…
髪形に原因の一つがあることは確かなようですが、それが分かったところで....
それを解決しないことには納品できません
…こんなものを納品するくらいなら死んだ方がマシです
いつの間にか構図(アングル)が変わってた・・・
なぜかいつの間にか「煽りアングル」になっています………………
なぜに???
なんだか踏んだり蹴ったりな状況になってきました、やることなすこと上手くいきません...はあ、
アップでは、まあまあ美人に見えます。
やっぱり髪の毛を外すとそんなに悪くはないんですが………………
………………
その後も10数時間あれこれやってみたのですが、納得いくクオリティには辿り着きませんでした。。。
ここまで難航したのは正直初めてかも知れません、
かくなる上は....
最初から描きなおし!
散々悩んだ結果、顔をもう一度最初から描きなおすことにしました。(白紙からやりなおし....)
精神的にもかなり疲れていたので、もうリセットして気分を変えるしかありませんでした。
今度は、ちょっとだけうつむき加減で描いてみることにしました、特に理由はありません、
煽りはなんか違う感じがしたので、なら俯瞰だなぁ~というノリで。
そして、5時間ほど描きこんでいると、
やっと着地点を見つけた!!
ふいにピンとくる絵に辿り着きました。↓
むむむ!!!....
なんかいいんじゃないか、これ??!
なんか情緒を感じるぞ、
アーティスティックとでも言えばいいでしょうか??
顔だけじゃなくてイラスト全体の雰囲気が調和した感じがします。
構図、色合い、ゴシックな衣装デザイン、うつむき加減の儚げな表情、
どれもがマッチしたような感じがします
動画はこちら↓
よ~し、これでもう少し描き進めてみよう。(やっと活路が見えた気がしました。)
ちょっと嬉しくなって筆が進みます、かきかきかきかき………………
おおお!
やっぱりいい感じ、14歳の少女らしい幼さ(可愛らしさ)も感じるし、それでいて美人でもある、
まさに理想通りの表情と言えます。
あとは、目の焦点を合わせたり、左右のバランスを整えれば完ぺきな顔になるはずです。
かきかきかきかきかき………………
よっしゃぁああーーーー!!!
自分の中では完ぺきです。
やっと納得いく状態になりました。
長かった.....
顔のことばかり書きましたが、衣装の皺や胸部のフリルなど描くのもかなり大変でした。
かかった時間は、計ってないので正確ではないですがたぶん50時間くらいでしょうか?.....
まあ、時間かかりすぎ・拘り過ぎではありますが、「自分が描きたいものが描けずに終わる」よりはいいです。
(ちなみにこれは有償の制作ですが時間給に換算すると超安くなってしまいました....一般的なアルバイト給の半分以下です)
あとは仕上げです、衣装や髪の毛などラフのままでほったらかしていた部分を描きこんで完成です。
完成
一応これで完成ですが、
表情をもう一度見直して、Kさんの要望に相応しくなるように調整します。
ちょっと表情がきつい気がするので、もう少し柔らかくします。↓
ちょっと優し気になりましたね、この表情で納品させて頂きました。
結果、Kさんはとても喜んでくださいました。
僕としてもいい絵が描けたと満足ですし、お客様にも喜んでいただいていいお取引になりました。めでたしめでたし
…と、それはいいとして、この記事の本題は次です。
……………………………………………………
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自分が描きたいものを描けば絵は上達する?!
突然ですが、ここでちょっと真面目な話をします。
長々と書きましたが、今回お伝えしたかったのは絵が上手くなるために大切なことは
「自分が描きたいものを描く」
ということなんです。。。
自分がほんとに描きたいもの……
自分が描きたいものっていうのは、
- 女の子が描きたい、とか
- 可愛い動物が描きたい、とか
- カッコいいメカが描きたい、とか
そうゆうジャンルの話ではなくて、
- 自分の理想通りの!
- 自分がイメージした通りの!
絵を描く!!!
ということ。
自分が描きたいものを描くということの本当の意味は、「自分の理想を実現する」ということに他ならないのではないでしょうか?
上で長々と書いたように、自分が「これだ!」と思えるクオリティに達するまで妥協せずに描き続けるということ。
一枚の絵ととことん向き合うということ、
簡単なことではないですが、そうすることで必ず上達するんです。
描くたびに自分の限界をぶち破り、ぐんぐん画力は上がっていきます。
少なくとも僕が今までやってきたことは、それだけです。
何か特殊な練習をしてきた訳ではありません。
自分が描きたいモノを貪欲に追い求めてきただけです。
でも、それは決して楽なことではありませんでした。
正直とても辛いことでした。
なぜなら、上に書いたように長年絵を描いてきたにも関わらず、いまだに上手く描けないことが多々あるからです。
....というより、いつもです、いつも上手く描けません
でもそこで諦めてしまったり、妥協してしまったりしては上達はストップしてしまうんです。
なので、
「自分が求めるクオリティ」に達していないのに描くのを辞めてはいけません。
辛くても、
しんどくても、
めんどくさくても、
どんなに時間がかかっても、
何度でも描き直してください。
目の前の絵が、自分が「こうゆう風に描きたい!」と思い描いていた姿になるまで、
何度でも...
おまけ
個人的にこのセラちゃんの絵が気に入ってしまい、納品後も色々いじって遊んでました。
魔え子様風 ブルーバージョン
他にも表情違い↓(微妙な差ですが)
というわけで今日は「没カットの一挙公開&自分の理想を妥協しないことの大切さ」についてのお話でした。
それではまた!
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