さて、今日は貴金属(アクセサリー)の描き方についてです。
- ダイヤモンドなどの宝石の透明感やキラキラ感、
- 指輪やネックレスの金属感、光沢感
- 金属への映り込み、
の表現方法について指輪の作画工程を紹介しつつ解説していきたいと思います。
(この記事は、読者のAさん(ジュエリーデザイナー)からの「グリザイユ画法・厚塗りでの指輪の描き方を教えて下さい」というメッセージがきっかけとなりました。)
ではでは、
メイキング動画も撮ってみましたのでよかったらどうぞ↓
この講座も役に立ちそう↓
描き心地やオススメの機能は?→ デジタルイラストやるならペイントソフトはクリスタで決まり!サイコ~の描き心地!
パソコンはマイクロソフトの「surface pro」です。
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目次
線画&下塗り
まずは、線画です。
ふにゃふにゃで雑ですが、僕はこんな線画しか描きません....すいません
線画の内側をグレーで下塗りします。↓
これも、バケツツールなどは使わず、普通にぬりぬりしてます。
(線画をきっちり描いていれば、この辺りの作業が効率化できるのですが……)
グレーの明るさは、明暗の度合いを10段階で考えた場合、明るさ5で描きます(ちょうど真ん中)。
あと、これからこの下塗りレイヤーの上に複数のレイヤーを追加して陰影を描きこんでいくのですが、全てのレイヤーをこの下塗りレイヤーにクリッピングさせてください。そうすることでこの下塗りしたグレーの範囲外には、何を描きこんでもはみ出さないようにできるので。
その辺の諸々の話は以下の記事にもまとめているので一通り目を通しておくことをお勧めします。
- デッサン力倍増間違いなし!?モノを面で捉えて立体的な絵を描く方法!
- グリザイユ画法の陰の描き方が解る!!ドラゴンボールの孫悟空を描いてコツを掴もう!!
- グリザイユ画法でリアルな絵を描く方法!立体感はたった4色で表現できる?!
では、下準備は済んだので陰影を描きこんでいきましょう。
陰影描きこみ(グリザイユ画法)
ここからがグリザイユ画法の真骨頂、モノクロで陰影を描きこんでいきます。
上のような絵を目指して描いていきましょう。
明るさ4のグレーで薄い陰を描く
まずは、明るさ4くらいのグレーで薄い陰を描きこみます。↓
光源は、ほぼ正面。
あなたの目から光が発せられて指輪を照らしていると考えて下さい。
描きこんだ部分を分かりやすいように色付けすると↓
まずは、ザックリでOKです。指輪の緻密なデザインなどは気にせず「光が当たりにくそうだな」と思しき場所に描きこんでいきます。
光が「当たりやすい当たりにくい」を判断するためには、モノを面で捉えるという考え方が必須になります。
くどいようですが、次の記事をよく読んでおいてください→ デッサン力倍増間違いなし!モノを面で捉えて立体的な絵を描く方法!
これが理解できていないとグリザイユ画法の威力を十分に発揮出来ません。
明るさ2~2.5のグレーで濃い陰を描く
続いて濃い陰を描きこみます。明るさは2~2.5くらいです。
描きこんだ所は、下図の青い部分。↓
さっき描きこんだ「薄い陰」の箇所よりもさらに光が当たりにくい部分です。
光に対して面の角度がかなり急な面(平行に近い面)ですね。
面の角度を図示するとこんな感じです↓
明るさ7で光がよくあたる部分を描く
次は、これまでの「光が当たりにくい面」とは逆の「光があたりやすい面」に明るいグレーを描きこみます。明るさは7くらいです。
描きこんだ所は、下図のオレンジの部分です。↓
光に対して角度が緩い面に描きこみます。図示するとこんな感じ↓
あと、ダイヤモンドのカット面の形などは、今は大体で描いておけばOKです。
気持ち多角形を象るように描いといてください。(上図の場合で言うと、六角形と三角形を意識して描いています。)
あとで簡単にカクカクした宝石らしく見せるテクニックを紹介しますので、
明るさ最大10でハイライトを描く
最後に絶対的存在ハイライトを描きこみます。明かるさ最大の白で描きます。
描きこんだのは、下図の赤い部分。↓光に対して正面を向いてる面です。
注意点としては、宝石部分に描きこむハイライトは宝石を形作っている沢山ある面の内ただ一つだけだということ。
理由は簡単で、宝石を構成している面は一つとして平行に位置していないはずなので光源の方を真っすぐに向いてる面は一つだけだからですね、
上図でいうと三角形のハイライトを唯一つポツンと描きこんでいます。
こうすることでハイライトが引き立ってキラキラした輝きを表現しやすいです。
また、三角形を描くことで宝石の特徴である規則正しいカット面も表現できます。
すべてのカット面を正確に描くのは大変ですが、これ一つ描いておけば他のカット面もなんとなく描いてあるように錯覚してもらえます。(かなりの手間を省略できますね。)
グリザイユ画法の成功と失敗の判断基準
グリザイユ画法が成功しているか否かは、このハイライトを描きこんだ時に大体わかります。
ハイライトを描きこんだ瞬間に「命が吹き込まれたようなリアルさ」を感じることができれば成功しています。
逆にハイライトを描きこんだにも関わらず何の感動もないときは、これまで描きこんできた陰影の何かが間違っています。
その際は、何が原因か突き止めて描き直さなければなりません。
指輪は極端にいうと単なる輪っかなので比較的簡単ですが、これがもっと複雑な造形物になってくると大抵一回では成功しません。
幾度かの描き直し&試行錯誤を経て、やっとこさリアルな立体感・存在感を表現できます。
絵は、方法さえ分かればたちまち上手く描けるようになる訳ではないのです....
描けるまで何度でも描き直すことが大切です。どんなに面倒でも・・・、どんなに時間がかかろうとも・・・)
(参考記事→絵が上手くなりたいなら「描きたいものを描く」ことが一番大切!その真の意味とは??!)
光が遮られて出来る影を描く
あと、光が遮られてできる影も描いておかなければなりません。
この場合の光源とアングルではほとんど影はできませんが、描けるところは出来るだけ描いときましょう。
(影はイラストをグッとリアルにしてくれますので欠かせないものです。)
下図の紫の部分に描きます。↓
影を描く時は乗算レイヤーを使います。明るさは4か5くらいでいいかと思います。(お好みでオッケー。)
....というわけでモノクロでの陰影描きこみは以上です。
続いて色を付けていきましょう。
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着色(オーバーレイ)
では、ここから上の絵のようになる様に色を塗っていきましょう。
グリザイユ画法における着色は基本ベタ塗りです。それについては以下の記事にもまとめていますので参考にしてください。
基本は、オーバーレイレイヤーを2枚重ねてベタ塗りする
モノクロで描いた指輪の絵(レイヤー)の上にオーバーレイレイヤーを作成して、リングの部分(宝石以外の部分)をベタ塗りします。
色は後で色調補正機能で変更するので、何色を塗っても構いません。
(下のレイヤーにクリッピングするのを忘れないように)
一応完成像はシルバーを想定しているので、とりあえず薄い紫を塗りました↓
グリザイユ画法の欠点の一つとして、「色がくすむ」とか、「暗くなってしまう」ということがあるので、着色する時は必ずオーバーレイレイヤーを2枚以上重ねて行ってください。
2枚目には何色でもいいので色を塗って色調補正機能を使ってシルバーに見えるように調整してください↓
宝石部分の着色
宝石部分は、ルビーを想定して赤色にします。
ここもリング部分と同様にオーバーレイを2枚重ねて赤色になるように調整します。
とりあえずこれでベースとなる着色は終わりです。
シルバーのリングに赤い宝石がついている指輪を描こうとしているんだなぁ~というのは分かると思いますが
....ご覧の通り、宝石の部分に透明感がないのでなんの魅力も感じられませんね。
という訳でお次は、宝石部分の透明感とリング部分の金属感(鏡面感)を表現していきましょう。
これがこの記事の本題です。
宝石の透明感(ガラス感)の表現
宝石の透明感とキラキラしたカット感の表現……、
結果としては次のようにしたいと思います↓
難しそうに感じるかもしれませんが、実は結構簡単です。
いやむしろ、超簡単です。
これはデジタルだからこそ出来ることですね....、つくづくレイヤーの便利さを痛感します。
超簡単!?ベタ塗りしたオーバーレイレイヤーに濃淡をつくってやるだけ!
さっき宝石部分にオーバーレイレイヤーを使って赤色をベタ塗りしましたよね?、
それをオーバーレイでなくて通常表示させると下図のようになっています↓
当然、ベタ塗したのでただの赤一色です。
で、やることは簡単でこのベタ塗りに濃淡をつくってやるだけなんです。
見たほうが早いので下図をごらんください。こんな感じにするだけです↓
これは単にベタ塗りした赤よりも明度の低い茶色を気持ち三角形を意識してランダムに配置しているだけです、
後はさらに適当にランダムな線をグチャグチャッと描きこんでます。
どういう濃淡をつくるかは、宝石の写真などをみたら大体分かるはずです。
キーワード「カラーダイヤ」とかで検索してみて下さい。
宝石部分に多角形を不規則に散りばめたような濃淡が見て取れるはずです。
探せばクリスタのカスタムブラシの中にそうゆうブラシがあると思います。それを使うのもありですね。
で、これを通常モードからオーバーレイモードに戻してやると、こんな風に表示されます。↓
透明感のある宝石の一丁上がりです。
濃淡をつくるのは、重ねた2枚のオーバーレイレイヤーのうち1枚だけでオッケーです。
2枚ともにそれぞれ違う濃淡をつくってやれば、さらに奥行き感のある透明感が表現できるかもしれないですね。
そこはお好みで、
一応透明感は表現できました。
これだけでも十分かも知れませんが宝石の写真を観察しているとあることに気づきます。
それは、別の光源からの光が微かに映り込んでいるということ。
という訳で....
さらに別の光源からの光を当ててやる
別の光源からの光(反射光など)を利用して、宝石のカット面を描いてみましょう。
これも見たほうが早いので、下図のとおりです↓
やり方としては、スクリーンレイヤーか加算レイヤーを作成して、暗い青を三角形を意識して描きこんだだけです。一瞬で完了します。
注意点としては、スクリーンレイヤーと加算レイヤーは発光効果が強いので暗い色を塗るということ、
明度は10段階中1.5くらいで十分です、
光が当たる場所を変えるとこんなパターンも↓
さっきのほうがいいですね
という訳で、宝石の透明感の表現方法は以上です。
簡単でしたね。
めでたしめでたし
では、次はリング部分の金属感・鏡面感の表現方法です。
これは宝石部分に比べたらちょっと難しいかも知れません……
金属感の表現(映り込み)
金属表現で大切なのは、主に2点あると思います。
- 一点は重厚感です。
- もう一点は、ツルッとした鏡面感ですね。
重厚感については、グリザイユ画法が正しく出来ていれば大体表現できていると思います、
なので後ひと手間加えるだけでさらにいい感じになります。(詳しくは後程)
問題は、鏡面感ですね。
これは映り込みを描きこむことで表現できますが、これが結構難しいと思います。(僕もあまり上手ではありません....)
というわけでここでは主に映り込みの描き方についてお話しますね、
色の塗り分けで映り込みを表現する
映り込みを表現する方法には主に2つあるのですが、これはたいして難しくない方法です。
金属には、周りにあるモノの色が映り込みます。(ツルッとした質感の金属なら確実に。)
....え?そうなの?
と思った人は、今晩お風呂に入っている時に蛇口を観察して見て下さい。
お風呂の天井の色や床の色が映っているはずです。なんなら手を近づけてみて下さい、肌の色が映り込むはずです。
このことを応用すれば、ツルツルの鏡面感を出したいところに部分的に違う色を塗ってやれば、映り込みと似た効果が生まれるのではないか?と考えられますよね?
もうちょっと具体的に説明すると、
指輪が屋外にある場合は指輪の上を向いてる面には空の青色が映ります。
逆に下を向いた面には地面の色、土の茶色やアスファルトのグレーなどが映ります。
実際にオーバーレイレイヤーを使ってその色を塗ってみました↓、
通常表示させるとこんな感じの色を塗りました↓
上を向いた面に青、下の面は見えないので代わりに側面に赤茶色を塗りました。
(やり方は、これまでと同様オーバーレイを使えばオッケーですが、黄色など薄い色は表示されないことがあるのでその時は乗算レイヤーなどを使ってください。)
どうでしょう?
なんとなく鏡面感・映り込んでいる感じが出たとは思いませんか?
映り込みをリアルに描くとなるとかなり難しいので、これだとかなりお手軽に映り込みを表現できます。
「なんちゃって鏡面仕上げ」とでも呼んでおきましょう。
まずはこの方法が一つです。
もう一個あるのですが、それが一筋縄ではいかない感じですね。
部分的に色が濃い(暗い)部分を作る
これも風呂場で蛇口を観察していると分かると思いますが、ツルッとした金属には局所的にかなり色が濃くなっている場所がありますよね?場合によっては黒に見えます。
これ何かっていうと、これもただの映り込みです。
一見黒に見えるところをよ~く見てみると、周囲の景色がしっかり映っているのが分かると思います。
その金属の形に合わせて湾曲したり、ぎゅっと凝縮しているからゴチャゴチャっとしてしまってパッと見黒に見えてしまうんですね。
これもさっきと同様に応用すれば、局所的に黒または色が極端に濃くなっているところを描いてやればツルッとした金属感が表現できるということです。
これも見たほうが早いので、実際に何パターンか描いてみました。↓
とりあえずオーバーレイレイヤーを新たに作って暗いブルーを塗ってみました。
代わりに乗算レイヤーをつかってもいいと思います。
もうちょっと暗く描いたほうがいいですね……、
どこに描けばいいの?
局所的に暗い部分を描いてやれば映り込んでる雰囲気を表現できることは分かりましたが、問題はどこに描けばよいのか?ということ……
それが難しいのですね、
正直僕もこれに関しては答えが分かりません、勉強中です。(なのでいつも苦戦しています。)
一説には、明るくなる部分のすぐ隣に暗くなる部分を配置すると金属の鋭い反射を表現しやすいと言われています
こんな感じ↓
もっと暗くしてみます↓
確かに....
ハイライトが強調されましたね。
一応はリアルな金属感を表現できたとは思いますが、もうちょっとツルツルピカピカにしたいところです。
明暗の境界をもっとクッキリさせればいいというのは分かっているのですが、そうするとなんか変になってしまうのです。
イマイチしっくりこないんですよね、
なのでこの映り込みを描く時はいつも一筋縄ではいきません…
みなさんも試行錯誤して、ベストな描き方を探してみて下さい。
…という訳で、ここまで描いたら着色に関してはほぼ終わりです。
ですが、何となく寂しいので次はもうちょっとアクセサリーとして華やかさをプラスしてみましょう
装飾を追加する(刻印、模様、ライン、etc...)
指輪に細かな装飾を施してみましょう。
名前を掘ってみたり(刻印)
マエコ(MAEKO)と掘ってみました。
模様を描いてみたり....
う~ん…ちょっと下品な感じになっちゃいましたね、、、
ラインを掘ってみたり....
リングの部分にラインを2本くらい掘ってみようとスッと縦縞を描き入れてみたら……↓
なんか質感&映り込み感がアップしたので、それをそのまま採用することにしました。
なので、ラインを掘るのはやめ、
後ついでにダイヤモンドがリングに映り込んでるところも描いときましょう
うっすらと赤を描き入れるとリングに宝石が映っているように見えますね
ほんのひと手間でプチクオリティアップできるので、思いついたことは試してみましょう。
……という訳で、そろそろ完成とします。
さらにクオリティに拘るなら小さな宝石をリング部分に沢山埋め込んだり……
色々出来ることはあると思いますが、もういいです
完成
はい、出来ました。
装飾が少なくて少し寂しいですが、一応オーソドックスな指輪の完成です。
・・・・・・・・
やっぱり少し寂しいので、最後に色を色調補正機能を使って自由に変更して遊んでみましょう↓
色を自在に変化させていじり倒そう!!(遊び)
これもグリザイユ画法の大きなメリットの一つです。
着色につかったオーバーレイレイヤーを選択し色調補正を適用するだけで、縦横無尽に色を変えて遊ぶことができます。
お買い物をする時に商品カタログから好きな色の組み合わせを選ぶ時のような感覚で....
小宇宙発生?!↑
ブラックダイヤ??↑
これ好き↑
白銀感??!↑
⇓優勝!!!⇓
という訳で、今日はグリザイユ画法を使った宝石、貴金属、透明感の描き方についてでした。
Aさん、参考になったでしょうか?
分かりに行くいころがあったら、またコメントでもメッセージでもしてくださいね、
でわ!!
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