絵がある程度上手くなって来ると、主線のない厚塗りイラストに憧れる人は多いと思います。
ですが、厚塗りって結構難しいですよね、
なぜなら、
いつもはモチーフの輪郭にあるはずの線画がないので、モチーフの輪郭がはっきりせず、どことなく存在感の薄い絵になってしまうから
が一つの理由ではないでしょうか?
厚塗りならではのズシッとした確かな存在感・立体感を表現するにはどうすれば良いのでしょうか?
今日はそれについてお話します。
ではでは、
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厚塗りイラストで大切なポイントは?
主線のない厚塗りイラストを描く際に大切なポイントは沢山ありますが、一つ挙げるとするなら
線画を描く以外の方法でモノの輪郭や境界をしっかり表現してやる事
だと思います。
- キャラクターを構成する各パーツの輪郭
- キャラクターと背景との境界
- 背景の奥行き感
- などなど
それらを線以外の方法でしっかりと描いてあげれば、自ずといい感じの厚塗りイラストが出来上がります。
その方法とは?
線以外でモノの輪郭を描く方法は主に以下の3つです、
- 影を描いてやる
- 立体感を描いてやる(陰影表現)
- 別の光源からの光を描いてやる
です、
一言で言うと「光と影を描いてやる」ということなんですが…
それぞれ説明していきますね
厚塗りというと、その名称からベタベタと色を厚く塗り重ねる描き方だと思われがちですが、実はそうではなくて「光と影を描くこと」が最も重要なポイントになります。
①.遮蔽物によって出来る影を描いてやる
まずは一つ目、影を描いてあげましょう
影とは何のことかというと、
例えば、太陽光の下で地面に出来る影とかのことです、
他には.....
例えば上方から光が差してくる場合、人物(キャラクター)にはこんな影ができます(紫の部分)↓
- 髪の毛の下にできる影
- 顎の下に出来る影
- 脇の下に出来る影
- 衣装の裾の下に出来る陰
- などなど
上からさしてくる光が髪や頭、腕、衣服によって遮られてできる影ですね。
どうでしょうか?
ご自分のイラストを見返してみて、こういった影がちゃんと描いてあるか一度確認してみてください。
描いてなければ描いてあげて下さい。
モノの輪郭が認識できる
この影は物と物とが接する所、また物と物とが重なる所に出来るので、描いてやることで見た人にモノの輪郭を認識させることが出来ます、
つまり線以外でモノの輪郭を表現できるということ。
描くのもそんなに難しくないと思いますが
どうでしょうか?
意外と描いてない人が多い!?凄く損してるよ!!、
この影なんですが、意外と描いてない人が多いんですよね、
一昔前ですが、このブログで読者様のイラスト添削みたいな事をしてたんですが
その時に共通して思ったのが
ってこと…
以前、影の描き方が不十分だったため添削させていただいた読者様のイラスト↓
影をしっかり描いてやる↓
影を描くだけで絵のリアリティはグッと増します
比較的簡単に描けるのに描かないのはとても勿体ないです
描いてないとなんとなくかる〜い印象で色が定着しない感じになってしまいます……
線画を描くせいで影を描かなくなるのかも知れない…
線画を描くとそれだけで一応絵として成立してしまうので、影を描く必要性に気づかないのかもしれないですね…
↓線画があれば影なんか描かなくても何が描いてあるか認識できてしまう
そうゆう意味では漫画やアニメの絵柄は絵の上達に一定の悪影響を及ぼしていると言えるかも知れないですね、
描き方は?
実際イラストを描く時の話ですが、この影は乗算レイヤーを使って描くといいと思います
若干青みががった色で描いてやるといいかもしれません(*場合によります)
お試しください。
では次
②.陰影を描いてモノの立体感を表現してやる
今度はモノ自体の陰影を描いてあげましょう、
モノ自体の陰影↓
さっきまで話していた影は光が遮られて出来るモノだったのですが、この陰影はモノの形(凹凸や面の角度)によって光が当たりやすい、当たりにくいという違いがあることによって生まれるものです、
- 光が当たりやすい所は明るくなり
- 逆に光が当たりにくい所は暗くなります。
ちょっとややこしい話なので、詳しくは以下の記事にまとめてあります。(上のサイコロの陰のつけ方を詳しく解説しています。また時間がある時にでも読んでみて下さい)
→デッサン力倍増まちがいなし!物体を面で捉えて立体感ある絵を描く方法!
→陰の付け方が分かればリアルな絵が描ける!?立体感はたった4色で表現できる!?
この明暗(陰)を出来るだけ正確に描き込むことでモノのリアルな立体感や存在感が表現でき、またその輪郭をハッキリ認識させることができます
が……
これはとても難しい、でもこれが出来れば何でも描ける
でもこれ難しいんですよね、
出来るようになるまでには早くても1年はかかるんじゃないかと思います
(線画で簡単な絵柄の漫画が描けるくらいの力があることが前提で1年です。
簡単な絵柄というのは、ドラゴンボールとかポケモンくらいの
でもこれが出来たら何でも描けますよ
それが魅力的な絵かどうかは別にして、何でもリアルに描けるようになります。
所謂絵の基礎と呼ばれるのは、この[モノの立体感を表現できるようになるまで」ではないかと思います。
立体表現ができるようになれば基礎はバッチリ固まると思います。これはつまりデッサン力のことですね、
→絵を上手く描くための鍵!?デッサン力とは一体何なのか??【イラスト添削&アドバイス】
練習方法・習得方法は?
この技術の習得方法・練習方法に関しては、ここで話すと長くなり過ぎるので、一つだけ挙げますね。
(他の方法に関しては以下の記事に纏めてありますので、よければご一読ください。→グリザイユ画法の基本!物体を面で捉えるための具体的な練習方法とは?!ガ〇ダムを描けばいい??!)
ここで一つ言うとすれば、
身の周りにあるもの↓
- どこから光が差してきて、
- モチーフのどこに光があたりやすいか(明るくなるか)、
- 逆にどこに光があたりにくいか(暗くなるか)
を観察・分析して下さい。(軽くスケッチまで出来ればベターです)
そしてそれを習慣として常日頃からやること。
そうしていれば段々と陰影の描き方が分かるようになってきます。
繰り返しますが、習慣としていつもやることが大切です。
上手い人から学ぼう
あとは陰影表現が上手い絵師さんの絵をガン見して上記と同じことをやるのも有効です。
陰影表現が上手い絵師さんとしては個人的にタカヤマトシアキ先生をおススメします、
実際僕も陰影の描き方に関しては長い間分からないままでずっと悩んでいました、
ですが「タカヤマ先生」の絵を見ていた時に「物体を面で捉える」という考え方を学び、陰影の描き方が分かるようになりました。
タカヤマ先生の画集にその考え方のことがチョコッと書いてあります↓
→厚塗りに効果絶大!?面で捉える描き方は、タカヤマトシアキ先生から学ぼう
描き方
実際イラストを描く時の話ですが、陰影表現がやりやすい作画方法としてグリザイユ画法をおススメしています。
グリザイユ画法とは?
簡単に言うとモノクロで描いてから、後で着色していくというデッサン(陰影描き込み)と着色が分離した作画方法です、
色のことを考えず、陰影(明暗)の書き込みだけに集中できるので厚塗り初心者さんにとって恩恵が大きいやり方と思います。
お試しください
グリザイユ画法のやり方に関しては以下記事を参考にしてください、↓
グリザイユ 画法の陰・影の描き方が分かる!ドラゴンボールの孫悟空を描いてコツを掴もう!
では続き、最後のポイントです
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③.光源を勝手にもういっちょ追加!
そして最後、
これはさっき話した②陰影が描けるようになっていれば簡単に出来ることです、
影と陰を描くだけでも厚塗りイラストとしてそれなりのクオリティにはなると思います、
ですが、もう一味欲しいところです、
隠し味的なスパイスが、
隠し味的スパイスとは?
それが別の光源を追加してそこから差してくる光を描いてやること、です
(現実世界では光源は複数あることが殆どですので、)
見たほうが早いのでまずはコチラを↓
上の写真「陰と影しか描いてない状態」と比べて下の写真「別光源(上方)からの光を描き込んだ状態」のほうが女性の絵が手前に浮き出て見えますよね。
こうする事で立体感が増すだけでなく絵自体に奥行きが生まれ、ごちゃごちゃした絵がスッキリと見やすくなったとは思いませんか?
(*上の写真「陰と影しか描いてない状態」の絵は光源を正面に設置して陰影を描いています。)
もう一例↓
見違えますね
(*これもはじめは光源を正面に設置して陰影を描いてから、後で上方に光源を追加してそこからの光を描き込んでいます。大抵このパターンで描いてます)
上方からの光をどこに描き込んでいるか分かりやすく色づけすると↓
分かりにくいとは思いますが、要は上を向いてる面に描き込んでいます。
上からさしてくる光がどこに当たるかというと上を向いてる面だからです。
描き方は
実際の描き方としては、発光系のレイヤーを使って描き込みます。
- スクリーン
- 加算
- 加算(発光)
- 覆い焼き(発光)
などですね。
あと一工夫で良くなる絵!
厚塗りをやり始めて「そろそろ慣れてきた」方の絵を見ると「惜しい」と思うことがあります、
デッサン的に不自然な点はない、描き込みも十分、色彩も綺麗、
なのになんか平面的というかゴチャゴチャしてて何が描いてるか分かりにくくなっているという………非常に惜しい状態
その問題はこのやり方で解決できると思います。
多少の嘘をついてもいい
今更こんなことを言うのもアレですが、厳密に言うとこのやり方はあまり正しいデッサンとは言えないでしょう
僕が普段やっている方法を勝手に紹介しているにすぎません、
もしかするとデッサンの先生や、デッサンを深く学んだ方に「間違ったことを教えるな」とお叱りを受けてしまう内容かもしれません
ですが、たとえリアルに逆らうことであっても
絵を魅力的にするため、また見やすくするためにこういった工夫をするのは構わないと思います、
多少の嘘を描いてもいい、ということ
ただし、慣れないうちは嘘つきすぎると収集つかなくなるので程々に…
反射光(照り返し)も意識する
難しいことですが、ここでは反射光の存在も意識しながら描ければベターです、
「②で描いた陰影」が「③で描く別光源からの光」の照り返し(反射光)を表現できていればデッサン的にも自然な絵になると思います、
②の陰影を描く段階で③の光のことを想定出来ていればベストなのですが、
……場数を踏まないとそこまで頭が回りません
この辺りは僕もまだまだ勉強不足なのでよく分かってません、
あくまで参考までに
(より深く正しい知識が必要な場合は、デッサンの先生か、もっと上手い人に習って下さいね)
モチーフの輪郭を表す情報の一つ
今説明した別光源からの光は、はじめに話した影と陰影と同様、モチーフの輪郭を表す情報の一つです。
分かりやすいのは完全な逆光の場合、この時の光はモチーフの輪郭を縁取るのでほぼ線画の役割を果たします、
まとめ
という訳で線画以外でモチーフの輪郭を表現する方法を3つ紹介しました。
ちょっと分かりにくかったでしょうか?
おさらいしときましょう
①.遮蔽物によってできる影を描いてやる
これは比較的簡単に描ける上に、イラストのリアリティをグッと上げる効果があるので積極的に描いて下さい、
これは初心者さんでも今すぐ出来ることと思います
②.光の当たり方の違いによって出来る陰を描いてやる
これは凄く難しいことですが、身の回りのモノの陰影をよく観察するようにしていけば徐々に出来るようになってきます。
軽くスケッチまでできればベターです。
そしてそれを習慣としてやっていって下さい。
また、モノを面で捉えるという考え方を知っておいて下さい。これを知った上で上記の陰影の観察を実践していけば、徐々に陰影のつけ方、描き方が分かって来ます。
ここでは根気強く数をこなす必要があります。手の空いてる時はいつもやって下さい。
3.別の光源からの光を描いてやる
これを描くことでモチーフの立体感を向上させるだけでなく、画面の奥行きなども表現できるので是非やってみて下さい。
ごちゃごちゃした絵がスッキリと見やすくなります。
また、リアルな(正しい)デッサンに縛られず、多少嘘をついた方が魅力的な絵になる場合もあります。
絵の隠し味的スパイスとして色々工夫してみてくださいね。
以上の3つ「①影、②陰、③別光源からの光」を駆使すれば線画がなくてもモチーフの重みや存在感をしっかり表現できるはずです。
また絵の持つ情報量が増えて見応えあるものになるはずです。
というわけで今日は以上です。
素敵な厚塗りイラストを仕上げて下さいね!
ではまた!
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